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ショート・ショート『小さな恋の物語』

 勘朝が異変を感じたのはつい、最近。
 「気分がおかしいなぁ。まさか、また鬱ゾーンに入ってしまったのか?
  今度の寄席では結構重要なところに出るはずなのに、また連中に迷惑かけるのか。」

 ところが、どうも鬱とは違うようだ。昔~し、味わったような気分。
 10代の頃。10代の頃の海馬(かいば)を検索していたら、何と出てきた。

 『失恋!!!』60年以上生きてきて今更ながら『失恋』とは。

 彼女は知らない。伝えるわけにもいかない。 これが高校生だったら、
 手紙の一通でも書いていたのに。彼は結構文章は上手い(と自分で思ってる)。

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 昔。『電波少年』というTV番組があっていた。
 ノーアポでガンガン世界中を訪ね歩く、というようなコンセプト。
 一番驚いたのが、PKOかPLOかのアラファト議長を訪ねたこと。これには肝をつぶした。

 で、彼は『電波少年』になって彼女のもとへ赴いた。7回訪れた。
 「だいたい3回くらい気付くもんですよ(笑)。」と〇心から諭された。
 7回目でようやく嫌われてると気付いた。最初は、〇心の御礼を伝えに行っただけなのだが。
 メダカのようにおめでたい。(すくいがたい。というメタファー)

 ストーカーになっていた。
 ちょっとだけ、彼の肩を持つなら、別に彼女の家の玄関前で待ち伏せたりはしてない。
 また、三回以内にあえてたなら、恋も芽生えなかったはず。

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 勘朝の小さな恋の芽は日の目をあびることなく、あっけなく。しおれてしまった。

 ただ、彼は彼女に感謝している。こんなおっさんに甘酸っぱい失恋を味わわせてくれたことを。

 できれば、別居中の連れ合いと彼女には観てもらいたくない。
 と、どこまでもオーストラリアの大平原のように(果てしなく、のメタファー)多アマな彼。

 連れ合いが目にするのは時間の問題。

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 書きながら、久しぶりの恋愛にブルーな吐息を出している。
 そして、偶(たま)に、百道の海岸へ行き、能古の島の左側に沈む夕日に向かって
 「バカヤロー」と叫んでいると言う。己が一番大馬鹿なのに気付いていない。
 おしまい。

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 【恋愛】
 特定の異性に対し、他のすべてを犠牲にしても悔いないと思い込むような愛情をいだき、常に相手のことを思っては、二人だけでいたい、二人だけの世界を分かち合いたいと願い、それがかなえられたと言っては喜び、ちょっとでも疑念が生じれば不安になるといった状態に身を置くこと。
  (第七版 三省堂:新明解国語辞典 寄利

  第五版のころはもっと過激な表現だった。それをのせると、R指定しなければならなくなる。
  どうしても知りたいなら三省堂に連絡して第五版を買うこと。それかブックオフを探しまくる。
 結婚と恋愛は同立しない。これを読めばよく解る。)

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2017年11月13日 15:25に投稿されたエントリーのページです。

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