「おい、T。今度粗忽家勘朝さんが公民館来るらしいぞ。」
T君がお父さんから伝えられた時、粗忽家勘朝は。
「しまったぁ。開演時刻がおあまりに遅すぎる。」と
〇心の策略にハマったと気付き、〇心の策士ぶりに感心していた。
「さすがS大学の経営学部だけあるわ。」と端倪(たんげい)していた。
T君は久しぶりにあうE先生を楽しみにしていた。
当日、落語好きなイケメンお父さんと、会場の最前列で見つめ続けた。
能天気なE先生。初め全く気付かなかった。
途中から
「誰かから見つめられてる。もしや彼女?」はるかかなた、までおバカ。
30分過ぎたころから最前列のT君に気がついた。
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「客イジリ」を厳禁にしている粗忽家勘朝が。ついに尋ねた。
「君名前ナンダッケ?」
「STです。」
「あー!T君ね。」
他の客を放り出してしばらく昔話をしてしまう。
粗忽家勘朝。あまりに立派な高校生になっているT君にしばし見とれる。
一級建築士を目指していると言う。彼ならきっと成し遂げる。
勝手に確信している。人の人生なのに。
ホントは夜とても弱いのに、T君のおかげでとてもステキな夜になった。
人生で初めて翌日まで起きてT君との邂逅(かいこう)を懐かしんだ。