木下恵介作品。『歓呼の町』。
東京を疎開する家族を描いてる。
「疎開しても、我々は日の丸の下、いつもともにいるのです。」の科白。
戦争のために苦をいとわない。
軍事態勢促進映画。好戦気分PR作品。
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「木下監督と言えども、当時はこんな作品を作らざるを得なかったのだろうな。」
と思って観たけど、全く違ってた。驚いた。
深い。
反戦・厭戦をそっと潜(ひそ)めてる。
今風に表現するなら、プログラムにバグを仕込んでいる。
戦時中でも心ある文化人たちは、抗戦していた。
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太宰治の『12月8日』はもう有名。
大本営に気付かれないように工夫した、反戦作品。
それと同じスタンスで作られている。『歓呼の町』。
当時の軍部はこれらの作品のテーマを見抜けずに、スルーさせてる。
見事にタイトルに騙されてる。
見抜いてた軍人もいただろうが、東条〇機クラスには見抜く目がなかったということ。
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こういった、レジスタンス文化が日本にあったことを今とてもうれしく思う。
三〇由紀夫や石原〇太郎には出せない、弱者の襞(ひだ)が表現されている。