だから、フランス映画は止められない。
ミニシアター系の映画だけど、大手シネコンで興業(なが)しても、ハリウッド現ナマ攻勢映画に引けを取らない。
どころか、ハリウッドを屈服させる。
戦争を描かせたら、旧大陸にハリウッドは敵わない。
スピルバーグが『シンドラーのリスト』でオスカー獲ったころから、ハリウッドの戦争映画はなんかおかしい。
---------------
フランスをはじめとするヨーロッパのの戦争体験は筋金入り。100年間の75%を戦禍にまみれてた。
その陰に、小さな小さな戦争体験が浸みこんでる。
で、こういう作品が出来る。
アメリカ人には無理。アメリカ人にとって、戦争は所詮格闘技の国家バージョン、のようなもの。
良くも悪くも、リングサイドで大声あげてる客。それがアメリカ人。
==========================
最後まで微動せずに見続けてた観客が、ラスト3分のセリフでどっと泣きだす。
前後左右で涙をすする。
この作品は一人で観に行く。複数で観に行ってドーナツチェーン店で感想を出し合う内容ではない。
ズドーンと内面に落とし込んで、ひっそり味わう。
出来れば、38歳すぎの客がいい。間に合わないなら、仕方ないけど、30歳以下には理解できない。
クリスティン・S・トーマス。『イングリッシュ・ペイシェント』に出てた女優。老けたけど、あれより良かった。
とても美しい女優が二人出てる。
一人は子役、もう一人は30代。この二人と、クリスティンで成功してる。
客は、想像力を掻き立てられながら、見入る。150分引き付けられっぱなし。
しかも、予想を、ことごとくはずされるから、見事。
監督の腕。