福岡の秋の深まりは、興業とともに進む。
落語がいつの間にか、増えた。
立秋の頃に『夢三夜』、コスモスの頃に『大天神落語まつり』。
内浜は季節とは関係なしにいつでもやってるけど。
11月になると、歌舞伎がかかって、歌舞伎が終わる頃、大相撲。
12月には文楽、そして博多をどり。
福岡は確実に大人の街になっている。
昔。歌舞伎の超ビギナーだった頃。
【屋台崩し】
(歌舞伎の大技:数秒間で大道具をワラワラと崩してしまう。)
を観て、
「これって、ドリフと同じですね。」と言った。
「勘朝、お前それを他人の前でいうなよ。」とたしなめられた。
ドリフの全員集合が、歌舞伎を真似していると知らなかった。
【全員集合】のDVDが出回っているらしいが、あの公開生放送が、歌舞伎をベースにしていると気付くのに10年以上かかった。
歌舞伎はすべての芸能の礎になっている。
TVの手法は多くが歌舞伎を源泉にしている。
ヒーロー戦隊。も、そう。
彼らは、一人ひとり名乗って、5人そろってポーズを決める。
所以を知らないバカは
「そんなこと言ってる間に、やっつけろ!」とベタな突っ込み入れる。
あの原型が『白浪五人男』にあると知ったら絶句する。
レッドは弁天小僧。
額の三日月の赤。赤い肌襦袢。レッドはここからきている。
大型ロボットが巨大化した宇宙人をやっつけて、後ろを向いて静止する。
見栄を切ってる。
ロボットが見栄切るわけない(笑)。でも、これが歌舞伎。
ガンダムも見栄切るのだろうか。
映画も同じ。
座頭市が五人斬って、仕込みつえをチンと収める同時に、五人倒れる。お決まり。
客はこれが楽しみ。
これが、歌舞伎。
福岡・博多で歌舞伎三昧楽しめるようになったのは、博多座が出来たから。
もう暮れにわざわざ京都・南座まで行かなくて済むようになった。
南座の顔見せ興業。あれはあれでとても面白かった。
博多座に、子どもは観に来なくてもよろしい。キャナルのミュージカルでも行ってればいい。
『外郎売』『連獅子』『与話情浮名横櫛』。ワクワクする。
「成田家!」
「テキーラ!」即退場。
福岡・博多は秋冬の似合う、大人の街になって来た。