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突然来る。無防備なとき。

 災難や、天災は突然やってくる。

 突然というのは、受身である、こちら側が全く無防備でスタンバイしてない時に来る。だから、始末に負えない。

 地震やその他2次災害は重篤な事態になって、振り返ることすらできないが、それ以外の事柄に、突然襲われることがある。


 夜明けのファミレスは、新聞、読書、事務処理に適している。
 (これは以前書いたが、最近のお客様は知らないから、敢えて書く。)

 何がいいって、テーブルが広い。コーヒーその他の飲み物が豊富に準備されている。ほどよい温度調整が整えてあって、BGMも静かに流れてる。
 また、夜明け頃の2時間は客足がピタリと止まり、静寂が訪れる。

 2か月ほど前、まだ暑苦しかったころ。
 午前4時ころ、24時間ファミレスで、アイスコーヒーを飲みながら、『週刊朝日』と『朝日新聞』よんでた。ボックス席で。
 
 一つ置いた、向かいのボックス席に40代くらいの女性が一人後ろ向きで座った。別に気にもせず、新聞読んでた。
 その女性、朝っぱらからビール頼んで飲み始めた。

 「朝から、ファミレスでビール飲むなよ。」と突っ込みながら少し気になった。
 よく見ると、どうも飲み会の帰りらしい。しかも、30代後半から40ちょいのキャリアっぽい。
 麻のジャケットに、ジーンズでビール飲んでる。午前4時。

 こうなると、新聞どころじゃない。気になって気になって。

 彼女がトイレに行く時、視るともなしにじっと容姿を見たら、疲れてるけど、仕事の疲れを癒している顔。一日ぐっすり眠って仕事に行ったら、ばっちりと中間管理職に戻る。間違いない。どちらかというと、美人。でも疲れているから、年は隠せない。

 何者や、と彼女がトイレ行く後姿を見て、ふと彼女のテーブルを見た。

 それは突然やって来た。ビビッ。

 彼女のテーブルには月刊誌『世界』が置いてあった。彼女のバッグには復刻『朝日ジャーナル』が突っ込んである(と予想した)。

 瞬間で惚れた。それは突然やって来た。


 まさか、ファミレスで
「あちらのお嬢さんに。」とドライマティーニをオーダーするわけにもいかず。
 ましてやこちらは、起きたばっかりで膝の抜けたジーンズに、ダサい10回くらい洗濯したユニクロのシャツ。

 だいたい30~40歳の女性管理職が『世界』読むわけないだろ!と自分に言い聞かせたが事実は揺るがせない。
 実際こういう客もいるのだろうか?小やすに確かめよう。
 


 夜明けのバスターミナルで、ぼろぼろになったP.ニューマンが恋に落ちた、 『ハスラー』。を思い出した。

 せめて、あの時『週刊朝日』でなく『アエラ』で、REGALのシャツでも着てれば、軽く酔ってたら。

 「いつもここでビール飲みながら『世界』読んでるんですか。」くらいのことは言えたのに。

 それから2か月。逢えない。
 

 突然来るのは天災だけではない。
 決して成就しない、儚(はかな)い恋愛も突然来る。
 万事塞翁が馬。

 人生、いろいろ起こるから、面白い。 

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2011年10月25日 19:11に投稿されたエントリーのページです。

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