仮面ライダー、ウルトラマン、ウルトラセブンが怪人、怪獣、異星人達を次々にやっつける。彼らが、戦い続けられるのは、変身しているから。
本郷猛、ハヤタ隊員、諸星団の姿では、とても互角以上に戦えない。
戦ってる途中で、変身ベルトが解けたり、アイスラッガーが落ちたり、ウルトラライトが切れたりしたら、客もスタッフも、当の本人もボウ然となる。
勘栄が、演っている途中、素(す)に戻った。以前勘タクも、勘心も、同じ経験をしている。
ビギナーの頃、皆結構この失敗をやらかす。
勘樹さんも、やらかして、突然降りてきた。下座がうろたえた。次に上がる予定だった、勘タンが一番うろたえた。今、伝説になっている。
落語を演るものにとって、芸名は、仮面ライダーの変身ベルト、ウルトラセブンのアイスラッガー。
変身するために、小絹社中がセレモニーメロディまで流してくれる。変身ベルトの風車が回り始める。
この変身するときの快感がいい。他では味わえない人生の珍味。
皆それを忘れられなくて、ズブズブと落語蟻地獄にはまり込む。
勘栄が突然、三嶋議員にもどったり、勘心が中村オーナーに戻ったりしたら、驚く。
誰でもやる失敗なんだけど。一人一回だけ。笑ってすませられる。
二回やらかすと、戦えない。変身するのが怖くなる(トラウマ)。