座頭市については、ちょっとうるさい。
少年時代は小屋で、かかる度に観た。おそらく全シリーズを観ていると思う。当時は勝新太郎の演技が当然と思ってみていたので、価値ある映画だとは思っていなかった。
今考えると、相当凄い演技だった。勝新太郎だけでなく、監督も相手役も、斬られていく名もない役者さんたちも。斬られていく大道具、小道具も素晴らしかった。ろうそく、樹木、柱、杯、盆の壷、碁盤、大八車の車輪、樽、等々が面白いように真っ二つにされていく。
大映スタッフ、それぞれが職人芸を発揮していた。
座頭市のリメイクも仕方がないので、観た。成功したためしがない。
ビートたけし、ルドガー・ハウアー、をもってしても駄作にしかならない。
ましてや、若さと、美形と、肌の美しさだけが取り柄の(十分すぎる取り柄だが)女優に座頭市が演れるわけがない。
で、今回はさすがに観に行かない。そうそうだまされない。お足使ってがっかりするのは愚かなこと。座頭市は勝新以外に演るのは不可能。
もし観て感心する客があったとしたら(おそらくないだろうが)、30代より下。勝新を知らない世代。それはそれでいい。そういう客は勝新を知らないほうが幸せ。
(そうそうメリル・ストリープ。あーすっきりした。こえびに感謝。)