« 脳年齢 | メイン | 『2001年』外伝 キューブリック »

『2001年宇宙の旅』

 誰が何と言おうと、映画のナンバーワンは『2001年宇宙の旅』。
 劇場で観るのは今回で3回目。
 1度目はティーンエイジャーのとき。(私にもそういう時代があった。)

 周りの映画好きが話題にしていたので、予備知識なしで観た。ひっくりかえった。
 ほとんど理解できずに映画館を出た。何かとてつもない経験をした感じがした。帰りがけ、ポスターの監督名を観てなんておかしな名前だろうと思った。
(確か当時は『キューブリック』と表記してなくて『クーブリック』と表記してあった。…と覚えている。)

 当時はビデオ屋さんなんてなかったんで、記憶にすがるしかなかった。いつもこの映画が気になってしょうがなかった。

 ビデオ屋さんが広まってきて、見直したのが20代後半。6割ほど理解できるようになってきた。

 2度目に映画館で観たのが30代後半。今はない中洲東宝のラスト上映でかかった。今度は予備知識満載でかぶり付くようにして、観た。8割理解できた。

 40代でDVDで観た。大いに不満が残った。TVでは収まりきれないスケールに気付いた。(この映画はTVで観ちゃいけない。)

 そして今回。50代で観た『2001年宇宙の旅』。
 年齢によって全く感じ方が違う。全く色あせていない。
(試しに今『スターウォーズ』を観てみるとわかる。あまりに稚拙な作りに噴飯ものだから。)
 SFXもCGもワイヤーアクションもないころ、どうやって撮影したのか、映像に驚かされる。

 ラスト15分の形而学上の部分は映画史に燦然と輝く。
 高校生や大学生のガキンチョにはとうてい理解できない。『理解したかったらニーチェ読んで出直して来い。』とキューブリックは仕込んでる。
 で、『ツァラトゥストラはかく語りき』がドカーンと流れる。(こんな解釈でいいと思うんだけど。映画部出身者が読んだら怒るかな。)
 
 科学的考証も実にしっかりしている。間違いや疑問点もずいぶんあるらしい。好事家が重箱の隅をつついている。ネットで見るといろんな解釈があるので驚く。

 例えば、『月探索機が月面に着陸する際、土煙が舞い上がるが、大気が存在しない月面で土煙は舞わない。完璧な放物線を描いて落下する。』等々。
 いろんな事を考える人がいる。そういう論議もまた楽しい。

 一番の間違いをご披露しよう。35年前の映画雑誌に載っていた。
 【宇宙ステーションへのシャトルに『PAN AMERICAN』(パンナム)のロゴがあるが、2001年には『パンナム』は企業として残ってない。キューブリックは大きな間違いを犯している。】

 当時はジョークだったんだろうが、ホントに『パンナム』は潰れてしまった。2001年に『パンナム』は存在してない。これを指摘した人の慧眼に驚く。

 そういった逸話満載の映画。
 次映画館でかかるのはいつだろう。
 20年後かなぁ。生きてるだろうか(笑)。

About

2010年04月04日 08:05に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「脳年齢」です。

次の投稿は「『2001年』外伝 キューブリック」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.32