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『第三の男』

 今週は『第三の男』。
 こんなにじっくり観たのは、初めて。白黒映画の最高傑作。『カサブランカ』はカラーの方がいけてるかもしれないが、この映画だけは白黒でないとだめ。
 影の中でザックリと浮かび上がるオーソンウエルズの顔。カラーでは出せない。光と影を存分に活かしてている。

 この映画はあちこちにコミカルな隠し味がある。
 全編を流れるチターのメロディーは軽妙で、アリダ・バリは映画中で喜劇の女優。そして若いオーソンウエルズは喜劇俳優の表情で登場する。その喜劇的な背景がミステリーの隠し味として活きている。

 何といっても映画史上最高の名セリフ。
 「イタリアではボルジボア家30年の圧政で、ミケランジェロ、ダヴィンチやルネッサンスを生んだ。スイスでは500年の平和の間に何を生んだか。鳩時計だ。」

 鳩時計。「クックークロック」の発音がそもそもコメディー。

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2010年03月14日 18:06に投稿されたエントリーのページです。

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