今週は『第三の男』。
こんなにじっくり観たのは、初めて。白黒映画の最高傑作。『カサブランカ』はカラーの方がいけてるかもしれないが、この映画だけは白黒でないとだめ。
影の中でザックリと浮かび上がるオーソンウエルズの顔。カラーでは出せない。光と影を存分に活かしてている。
この映画はあちこちにコミカルな隠し味がある。
全編を流れるチターのメロディーは軽妙で、アリダ・バリは映画中で喜劇の女優。そして若いオーソンウエルズは喜劇俳優の表情で登場する。その喜劇的な背景がミステリーの隠し味として活きている。
何といっても映画史上最高の名セリフ。
「イタリアではボルジボア家30年の圧政で、ミケランジェロ、ダヴィンチやルネッサンスを生んだ。スイスでは500年の平和の間に何を生んだか。鳩時計だ。」
鳩時計。「クックークロック」の発音がそもそもコメディー。