昔、先輩教師に円周率を１００桁以上暗唱できる方がいた。感心したし尊敬もした。
その方は自嘲気味に
「こんなこと覚えとってもナンの約にも立たんちゃけどね。」とおっしゃってた。しかし、そのクラスでは円周率暗唱が流行って、子どもたちが覚えていた。確かに何の約にも立たないんだけど。
今私の勤務している学校では『元素周期表』を暗記するのが流行っている。『全日本Ｊｒ．元素周期表認定協会』の認定基準に沿って準３級～１級まで６段階ある。
ちなみに準３級は１水素から３６番クリプトンまで言える。これが２級になると１番Ｈ～１０３番Ｌｒ（ローレンシウム）まで言って、記号で書ける。
最後の１級は『１番Ｈ～１０３番Ｌｒを暗唱して、記号で書けて、番号まで暗記する。』になる。とてもそこまで辿り着く子はいないとたかをくくっていた。
しかし、子どもの可能性を侮っては行けなかった。ついに１級の子が１月１５日現在２名も登場した。準３級なんてぞろぞろ出てきた。おかげで認定証を申請してもらうのが大変な作業になった。
周期表なんて覚えてもナンの役にも立たない。でも子どもたちは覚えてくる。これが知的好奇心。子どもたちにどう刺激を与えるかが教師の腕。
ちなみに『全日本Ｊｒ．元素周期表認定協会』の会長は私。一切、野暮な官庁から補助は受けてないし、会費もただ、受験費用もただ。文句言われる筋合いは一切ない。でも子どもたちの力は確実についている。生活にナンの役にも立たない力が。