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哀れキョウチクトウ

 学校には多くの種類の植物が栽培されている。子ども達に植物の特性や四季折々に変化していくその姿を見せて、生きた教材として生活科や理科に活かしている。
 そんな中にキョウチクトウがある。インド原産の常緑低木樹で生命力が強く、都市環境に強く、防塵防音用として、また工場緑地化にも利用されている。学校だけでなく多くの公園や家庭でも植えられ、可愛がられている。
 今、福岡市教育委員会は全学校からこのキョウチクトウを伐採排除しようとしている。
 伐採理由は①毒性がある②生茂って見通しが悪くなる。の2点らしい。
 確かに、キョウチクトウの樹皮や根にはオレアンドリンという強心作用を有する薬物が含まれる。しかし、これは古くから薬として利用されている。量を誤れば毒にもなる。植物に薬物が含まれているのは珍しいことではない。
 トリカブトほどの毒性があれば別だが、伐採という処置は間違っていると思う。子ども達への指導は、「安易に知らない植物を口にしない。キョウチクトウは薬にも毒にもなる成分が含まれている。」等行えばいい。 
 現に他群市では伐採にまでは至ってない。M市でも論議は起こったそうだが、伐採にまでは至ってない。 
 一木一草にも命があることは当然で、生命尊重を教えるべき学校現場で、伐採排除されるキョウチクトウが哀れでならない。福岡市教育委員会は、同じ理由でニチニチソウの栽培も禁止し、アジサイ、センダン、ニセアカシアも伐採していくのだろうか。
 学校の次は公園のキョウチクトウの伐採につながっていくかもしれない。この愚かな行為が福岡県下の市町村や他都道府県に広がっていかないことを願っている。

 蛇足ながら、広島に原子爆弾が投下されて、100年間植物は育たないだろうと言われていたところ、数年後に最初に生命の息吹を吹き返したのがキョウチクトウ。広島市ではそう理由もあって市の花になっていて、ほとんどの学校で植えられている。
平和教育の教材としても、理科教育の教材としても利用価値が高い植物に違いない。

 今度の対戦相手はどうも教育委員会になりそう。私の上司が相手。面白い。

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2009年12月09日 20:45に投稿されたエントリーのページです。

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