08もこえびも触れているので、今回の事件に便乗しよう。
『結婚詐欺』。結婚には引かれないが、詐欺には結構引かれる。詐欺にはドラマがある。また、詐欺師・トリックスターはある種の美しさがある。
詐欺罪の完成は、緻密な仕事をやり遂げた美しさがある。人を騙すにはそれなりの才覚(才能)が必要で、バカには出来ない。そこに強盗や恐喝等の粗暴犯とは違った、『知性』を感じる。
強盗、恐喝は中学生にでも出来るが、詐欺はよほどの力量がないと出来ない。
騙す相手を十分リサーチしておかないと詐欺は完成しない。
だから、詐欺は映画のモチーフにもよくなる。(最高は『スティング』で決まり。邦画は『白昼の死角』か。)
騙される側は、間違いなく『欲』があるし、『弱み』をもっていて、『権威』によわくて、『世間知らず』。この4点を持っている。こんな連中ほど騙されやすい。騙す側は、実にここをうまく読んで仕事にとりかかる。
あとはタイミングをよ~く見計らって、いかに騙す側を追いつめていくか。ここが勝負の分かれ目。
宗教がらみの詐欺はもろにここをついてくる。ツボしかり、オガミヤさんしかり。宗教はすぐにでかい建造物を建てる。騙す相手が権威に弱いのをよく知っているから。
今回騙された方々には大変申し訳ないが、彼等は多くの弱点をもっていた。殺されるのはあまりに理不尽だが、現実は惨い。
詐欺はストレートフラッシュ並の美しさがある。しかし、殺しは醜い。
今回、容疑者の行為が美しくなくて、尊敬に値しないのは、殺人まで犯してしまっているところ(まだ確定してはいないらしいが)。
複数相手の結婚詐欺だけなら『やるなぁ』と評価されていてもいいが、殺しはダメでしょう。
話はそれるが、報道は惨いね。被害者は実名で、写真をガンガン流すのに、加害者はモザイクだもんね。
被害者は二度鞭打たれている。ご家族は恥ずかしくておもて歩けないだろう。メディアはそのあたり考えなのかね。特にTVは非道い。