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ドクターショッピング3

 担当がDr.Yに変わっていよいよ本格的な鬱の入院治療が始まった。
 入院通算162日がスタートした。実はその頃のことをあまり覚えていない。本当に半年休職して、5ヶ月を越す入院生活があったのか記憶が定かでない。
 初めの3ヶ月はずっと床に伏せっていたようだ。それ以外に記憶がない。とにかく生命力を根こそぎ持っていかれるもんで、『活力・元気』などとが全く無縁の世界。やたら1日が長かったのをかすかに覚えている。時計と外の風景ばかり見ていた。Dr.Yはその頃私のために薬を試行錯誤しながら合うヤツを探してくれていた。鬱は薬でしか治らない。最近いろいろ本が出ていて、『鬱はこうして治す』等の事が書かれているが、鬱は薬でしか治らない。どの薬が合うのかが勝負の分かれ目、早く自分に合う薬にたどり着けたら幸運だろう。

 いろいろ薬が変わった。もう忘れたが量も種類も変わった。最終的に私に会った薬は『パキシル』『ジェイゾロフト』の二種類、そして眠剤。この治療薬で少しずつ生命力を取り戻していった。
 まずTVが観られるようになってきた。ニュースに興味が出てきて、クイズ番組に反応するようになってきた。新聞を読めるようになって、4ヶ月ほどすると本がようやく読めるようになってきた。

 鬱の闇に入り込むと、活字・画像・音声がダメになる。外から入ってくる情報を全く受け付けない。体を動かすのが辛くて、起きて歩くのさえ嫌だった時期もある。風呂にはいるのに一苦労した。
 「鬱は心の風邪」といわれるが、そんな生やさしいものじゃない。鬱を面白く書いたものもあるが、鬱をなめるんじゃない。鬱病で死ぬことはないだろうが、鬱病患者は死を望む。多くの自殺者がいる背景に鬱病が関係している。

 本が読めるようになってからは、ようやく1日が楽に過ごせるようになった。それから猛烈な読書が始まった。1日1.5冊のペースで読破していった。Dr.Yが気分が上がりすぎて居るんじゃないかと心配してきた。このころ携帯メールに慣れてきて外に気持がようやく向いてきた。そうすると外から手をさしのべてくれる方々が出てきた。
 鬱病を克服した方も居た、「鬱は必ず治る病気です。私も鬱だったから解ります。」鬱のトンネルの中では信じられなかった。そういえばDr.Uも同じ事をいっていた。

 職場も上司も辛抱強く待っていてくれた。もちろん内浜落語会も待っていてくれた。

 そして、退院。長かった。退院しても劇的に快復したわけではなかった。やっぱり家では床に伏せってばかり。外に出たくない。商店街寄席やお稽古会も出て行けない。飲み会なんて全く考えにも上らない。でも薬の効果かホンの少しずつ気が晴れていくのは事実だった。
 4月1日復職。ビビッて職員室に戻る。大勢の前に久しぶりに出た。職場が穏やかに復職を受け入れてくれた。職種も仕事内容も激務からは解放された。続く

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2009年07月22日 12:32に投稿されたエントリーのページです。

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