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ドクターショッピング2

 (前回からの続き)Dr.Oと出会ってからの転回は速かった。多くの患者さんが待っているにもかかわらず、テキパキと問診を進め、入院を勧められた。
 明日には職場に行くつもりだったのに、即入院。入院する病院も選択の余地が無い。
「朝倉の病院にしますか?西区の病院にしますか?」ときた。100%西区しか選択の余地はない。
 で、即入院。「まぁ1ヶ月程度の入院だろう。」くらい多寡をくくていた。実際半年もかかるとは、その時Dr.以外誰も思ってなかった。

 「明日10:00にK病院に入院です。」と言われてもピンと来ない。他の人が入院するような気分。
 鬱の進行は思考力・判断力・想像力・創造力・表現力を根こそぎさらっていく。もっと言うなら生き物としての生命力も奪っていく。新陳代謝が出来なくなる。食事排便食欲性欲睡眠欲まで奪われた。薬がないと生命力が無くなる。入院しないとかなりヤバイという判断力は残ってなかった。入院するために何をすべきかという思考力もなかった。これは鬱を経験したものでないと理解は出来ない。

 翌日K病院に入院。担当Dr.がDr.Yに変わった。これで7人目のDr.。ドクターショッピングというらしい。
 私の受診カルテを作成中にDr.Yの顔が一瞬変化した。Dr.Nの受診歴が彼の目を引いた。
「N先生を受診されてたんですか?」
「はい。」と私。
「N先生は私の師匠なんですよ。」とDr.Y。
 どうも精神科医には師弟制度が残っているらしい。堂々と「私の師匠。」と表現する。『私がDr.Nにかかっていた』事実は患者としての私の地位を高める効果があったらしい。面白い業界だ。私の生涯の主治医Dr.Uがわざわざ私にDr.Nを薦めてくれたのが、ここまで来てようやく理解できた。続く

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2009年07月13日 20:14に投稿されたエントリーのページです。

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