午前10時の映画祭。『赤ひげ』。
黒沢映画。所見ではなかったが、また新たな気持ちで。
俳優陣が素晴らしかった。
三船敏郎は言うに及ばず、黒沢組総出演。その他、加山雄三、二木てるみ。
珍しいところで、内藤洋子。映画初演ではないか。
ポイントは英才教育を受けた加山雄三が泥臭い、赤ひげにグイグイ引き込まれる様子。
雪のシーンたった20秒のカットに、3000個の麩と
250㎏のカポック(グローブの中の綿)を使ったという。
また、築100年の小石川療養所のオープンセットに、実際100年たった
建築材や瓦を集めさせたという。
お見事。
---------------
今回一番感心したのは、香川京子。
座敷牢に閉じ込められた可憐な美女が鬼の形相に変化する。
あまりの変幻ぶりに驚く。
『東京物語』での女教師。
白いソックスを履かせるだけで清楚さを表現した小津安二郎。
黒澤明は清楚さとは無縁。
もっと人間の業を求める。
香川京子に発狂していく痴女を求める。
それに応える、香川京子。
監督が違うと女優はこうも変わる。