『女神の見えざる手』なかなかの佳作。
仕込みとバラシが、思い出しただけで10カ所以上ある。
「したたかで巧妙な戦略。国や世論を巻き込む逆転劇」
チラシに書いてある。ふつうチラシのキャッチ負けが多いが、キャッチの上を行く。
全編がラストのどんでん返し(歌舞伎用語)に繋(つな)がる。
ロビイストという用語は五輪招致で耳にしたことがあるが、
アメリカでは政治・経済あらゆる場面で蠢(うごめ)いているらしい。
キーパースンが男女それぞれ1名ずつ登場する。
男性の方は後半で、女性はラストで流れをひっくり返す。
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主人公の女神が、
仕事仲間の離合集散、敵対勢力、敵対勢力に送ったスパイ、
マスコミを巻き込んで観客をあっちこっちへ引きずりまわす。ひと時たりとも油断できない。
スピード感満載の謀略、戦略作品。
必然的に登場人物や独白(せりふ。歌舞伎用語)が多くなるが、脚本がいいから付いていける。
忘れてはいけないのが名翻訳家:松浦奈美。
あれだけ、しゃべり倒すのにきちんと1行約20文字。
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「あなたは、仲間の感情を考えないの。」
「わたしは、仕事にしか義務を考えない。」
もっと深いやり取りをしていたが、さらりと訳してくれる。合計40文字以内に訳す。
その分スクリーンに集中できる。
松浦奈美。彼女は師匠戸田奈津子を越えている(かもしれない)。
私と勘楽の関係。客観的事実いかんともしがたい。
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男のキーパーソン。
敵に雇われた刺客。
結果的に嘘をつくことになるが、彼女側に有利にはたらく。
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アメリカには「エスコートサービス」という職業があるらしい。
歌舞伎風で表現するなら『男娼(だんしょう)』。
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※これから先。子どもは読んではいけません。
「エスコートサービス」。
キャリアガール御用達のコールガールならぬ、「コールボーイ」。
女性の社会進出を支える社会なら日本でもあってもいい。私も若ければ・・・(苦笑)。
ベッドパートナーとして全身全力で仕事をする。
仕事に集中するシングル女性を支える、には必要善だと思う。
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私事で恐縮だが、最近、某有名企業のキャリアガールズと仕事をさせてもらった。
実働は〇心だが、彼女たちの働きぶりは「辣腕(らつわん)」という言葉にぴったり。
女性がリスクを乗り越えながら、懸命に仕事をする姿は美しい。
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作品評に戻る。
一つだけ「穴」をあげるなら。エンディングが5分長い。5分間短くすればもっと良かった。
ただ、この5分に一番のひっくり返す場面があるのだが。
おススメ。
キャリアガールズ、には是非お勧め。
ただ、キャリアガールズには映画を観る時間が無い。残念。