学生落研時代話が続いたので。
こんな場面も。
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九州落語連盟。略して九落連という組織があった。
九州の田舎大学の落研が集う。
完全な学生のみで組織された団体。
九大・福大・教育大・長崎大・西南大・佐賀大・下関大・梅香大・九州産業大・長崎造船大・あと忘れた。今は潰れた落研さえある。
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その稽古会(各大学が集う部会)で。
『片棒』がかかった。
その被稽古者に向かって、某大学の先輩から
「片棒演じるからには、『リア王』位しってるよね。」
とてつもない意地悪な質問。(教育界ではこれを「発問」という。質問者が答えを知ってる。)
文学部学生なら知ってて当然だけど。演じてる某学生は理系。蒼くなった。
K君は残念ながら、文字では読んでなかった。が、K当然『リア王』を映画で観てた。
その発問者の意図も完全に読めた。
「コイツ国立大学の3年生というだけでいばってるよなぁ。」と見抜いた。
そのグループにいた6~7名は凍った。
おそらく、発問者とK君しか『リア王』と『片棒』の関係に気付いてなかった。
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これが【素養】。
別に知らなくったって『片棒』演れルんだけど。
意地悪な質問者・客は必ずいる。
そのとき
「死ぬ恐怖にビビった父親として『リア王』と『片棒』は似てます。」
と一言出すだけで、発問者は納得する。
そこで論戦になったら、友だちになればいい。
何の取り柄もない者(=バカ)とつきあう暇があったら、
論敵と飲んでる方がどれだけましな時間を共有できるか。
お互いの、素養が共鳴する。
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とまとの『片棒』は大丈夫。
とまとを指導した教授はシェークスピアのエキスパート。
そこの学生。
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実は、落語は結構シェークスピアをパクってる。
三遊亭円朝というキーパースンがトランジットしてる。
これ、落語の深淵。
知らなくったっていいけど、知ってると偉そうな客に負けない。素養。