「ベタな演技」という表現。
元々、演芸界で、「誰もが通りいっぺん。工夫のない。」といったような表現のこと。
----------
例えば、
18歳の少年(出来ればほんの少し崩れてる)が、海岸の夕日に「バカヤロー」と言って石を投げる。
32歳の専業主婦が、夫以外の男を好きになって、その夜夫から迫られて、「よして。」と言って寝返り打つ。
だとかの演技が、ベタな演技。
------------
ここまで芸人団(プロ)と、素人団(アマ)の境目がなくなると、ベタな演技はパロディになる。
そこのパロディをねじ伏せることのできるプロが、石原裕次郎。
============
本文までが長かった、小〇治師匠のマクラみたい。
裕次郎の凄さをまだ理解出来ないけど、ベタな演技をどれだけ演っても、納得させられる。
-----------
『赤いハンカチ』(日活 1964年)
客の知能指数を嘲笑う「ベタ作品」。
だけど、裕次郎が演るとさまになる。
【裸ギター持って港を歩く】奴なんて、世界中どこ探したっていない。
【ベットに横たわる20代の浅丘ルリ子】の上で、「今は君を抱けない。」なんてバカはいない。
でも、裕次郎が演ると、客全員を納得させられる。
-------------
労働者も、ヨーマンも、農奴も、ブルジョアも、セポイも、インテリも、全部かっさらって行く役者。
それが裕次郎。
-----------
早死にするはず。