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『おしゃれな入院』

 一時期、落語をいじくりまわしたことがある。

 落語の懐の深~いところ。
 上げたらきりがないが、ロイヤリティー・著作権がないことも、その一つ。
 あれだけの名作群にプロテクトがかかってない。あまりに凄すぎる。

 で、改作、挿入、文法変換に凝ってみた。でも原点回帰してしまう。古典の力強さに圧倒された。


 約四半世紀も昔。初めて落語を創った。
 いろいろ創ってやってみたが、今でも残ってるのが『真面目な生徒高倉君』。だけ。
 学生が演ってるのを聴いて不思議な感じがした。
 たまーにリクエストが来る。もう演らない。勘栄にやった。

 処女作が『おしゃれな入院』。
 いまでも演れるが、あまりに恥ずかしくて出来ない。

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 体があまり強くない。虚弱体質(笑)。喜多八師匠のマクラみたい。

 常識的な一般人が患わない病気で、どかんと入院する。
 しかも、入院期間が長い。

 初めて長期入院した時、病院の閉鎖性と前近代性を笑って創った。『おしゃれな入院』。

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 これからが、本日の要旨。
 
 先日S病院に行った。
 で、施設設備が『おしゃれな入院』と余りに酷似していて、驚いた。

 高級レストラン、吹き抜けの階層構造、コンサートホール、アリーナ・ジム。常設展覧会。紳士の支配人。コンピュータで管理された患者さんの一日。行列はない。待合室もない。客を待たせない。
 エントランスホールは高級ラブホテルと見まがうばかり。

 
 落語が先か、S病院が先か。アイディアは『おしゃれな入院』が先だと思う。

 
 残念ながら、もうどこにも記録として残ってない。勘朝の頭の中にはある。でも演らない。若い時は何でもやった。 

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2012年11月12日 21:22に投稿されたエントリーのページです。

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