人生、概(おおむ)ね貧しかった。
今が富を享受してるとは言えないが、ひとけた、ティーンエイジャーの頃はもっと貧しかった。
その頃、何が欲しかったって、『図鑑』が、欲しかった。
図書室で図鑑を眺めて、その世界に入り込んでた。10歳前後のフェティズム。
学生になってからも、図鑑が欲しかった。
だが、バイトで買える値段ではなかった。
就職して給料もらった、1冊ずつ図鑑を買った。
保育社、平凡社、学研の図鑑が秀逸。
今、図鑑産業はインターネットの登場で、壊滅。
今時だれも図鑑なんて買わない。ネットで即決。
ところが、数年前意表を突く図鑑が出た。ウチの書籍担当は知ってる。
『こども図鑑』(学研)久々図鑑産業が一息ついた。
図鑑は調べるものでなく、遊ぶというテイストで創ってる。
こども図鑑だが、大人だから面白い。
クリスマス時期になると売れる。
両親、じいちゃんばあちゃんが、子ども・孫に買う。
今時の子どもが、書籍紙媒体を貰って、喜ぶのだろうか。
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自分が本も読まないのに、自分の子には読ませようとする。愚か。
どうしても、子どもに図鑑を読ませたかったら、貧しい生活させて、知的貧窮感に浸らせる。
満足しきってる子どもは、これ以上食べない。
馬に水を飲ませたかったら、自分も喉を乾かせて、一緒に川に行く。
家を電飾で飾るバカに、図鑑の面白さは解らない。
昔から、中産階級の家にある百科事典は虚飾だった。
無駄な手垢の付いてないブリタニカが、虚しかった。
今、ブリタニカが、イルミネーションに代わってるだけ。バカさらけ出し。