« 第1回『瀧川鯉昇・桂平治二人会』(宗像) | メイン | 『ベスト・キッド』 »

贅沢な落語

 1週間に3回もの興業は大変だった(苦笑)。
 自分でまいた種だから刈り入れまでちゃんとして。

 で、今回自分の興業を、お客様にまぎれてたっぷり観た。
 『お客さまにとって一番楽しめる寄席は何か』に触れたような気がする。

 もちろん興行主にとって一番いいのは、たっぷり入ってもらうこと。

 お客さまにとって一番いいのは、演者が発する『芸』を自分の『感性』でキャッチできるポイント。最高のチューニングポイントで観ること。

 演者全身が観れて、小さな所作を逃さず、生の声が聴ける位置。

 米朝師匠も『落語と私』で、
「落語はマイクを通すと声が音になります。」と書いている。

 となると、もしかするとふくふくホールは広すぎるのかもしれない。

 ユリックスの小部屋で聴いた両師匠の落語は実に贅沢だった。
 鯉昇師匠が、ぼそぼそ語り始める声は心地よく。平治師匠の声は張りがあった。特に講談は聴きごたえ十分。

 鯉昇師匠が【片手鉢巻をしくじる】所作で、【鉢巻】がハッキリ見えた。
流れて行く棹も、櫓も、岸壁に残されたこうもり傘も見えた。
 平治師匠が扇子を変えたのもわかってたし、【肥甕】も湯気の上がる海苔を巻いたご飯も見えた。

 二日目の、小さなお座敷で聴いたお客さま方は本当にラッキーだった。
 興業主からすると『損』な落語会だが、お客様からすると実に『得』した贅沢な落語会だった。客でよかったぁ。と至福のひと時。

About

2010年07月12日 17:50に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「第1回『瀧川鯉昇・桂平治二人会』(宗像)」です。

次の投稿は「『ベスト・キッド』」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.32